当科では、毎日の外来診療と、上下部消化管内視鏡検査、腹部超音波画像検査を施行しています。また、上下部消化管の内視鏡的治療や胆管の内視鏡的治療を行っています。
上下部消化管内視鏡は、数年をかけて順次最新の設備に更新しているところです。内視鏡画像の高解像化(ハイビジョン化)に取り組むことと、特殊な画像処理(NBI)を併用することによって、小さな病変も見逃さないようになってきています。また、病院で行っている人間ドックに、この最新の上下部消化管内視鏡検査を含めることもでき、病気の早期発見に貢献しています。
一方、内視鏡的大腸ポリープ切除術や内視鏡的食道・胃粘膜切開剥離術(ESD)といった、内視鏡的消化管治療も積極的に行っています。これにより早期の消化管悪性腫瘍(がん)に対して、開腹を伴わずに侵襲の少ない治療を実現しています。
また、総胆管結石・胆管炎に対しても、開腹を伴わない内視鏡的砕石治療を施行しています。
さらに、高齢者や高リスク疾患を持つために、消化器の進行癌に対する大きな手術ができないような方に対しても、日常生活動作(ADL)を向上させるために、各種消化管ステント治療を積極的に取り入れております。当院では、食道ステント、十二指腸ステント、胆管ステント、大腸ステントの治療が可能です。
また、吐血、血便といった急性消化管出血に対しても、随時対応可能な体制をとっております。
平成30年度の米沢市のがん検診の受診率は、胃癌検診対象者の15.7%、大腸癌検診は26.4%と、依然として低率です。検診で異常を指摘され、精密検査を受けた方では、胃癌が2.08%、大腸癌が3.90%の方にみつかりました。
一般的に、検診で発見された癌は、自覚症状が出てから発見された癌に比べて、早期癌あるいは、進行癌でも転移していないことが多く、内視鏡治療や手術で根治治療ができる場合が多いので、検診を受ければ、癌の早期発見、早期治療につながります。
また、内視鏡検査を行うと、癌がなくても、慢性胃炎や、大腸ポリープといった、将来癌を発生する可能性のある病気がみつかることがあります。慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ感染胃炎によって生じることが多く、ヘリコバクター・ピロリを除菌すると、胃癌の発生が抑制されることが分かっており、保険診療で除菌ができます。また、大腸ポリープの多くは腺腫という良性の腫瘍ですが、それが増大すると癌になる可能性があるので、腺腫の段階で内視鏡で切除することにより、癌にならずにすみます。
このように、内視鏡検査を受けることにより、癌になるリスクも減らすことができます。検診を受けて、異常があったら内視鏡検査を受ける。または、はじめから内視鏡検査を受けることをお勧めします。当院では、経鼻内視鏡や鎮静下の内視鏡検査も行っております。内視鏡検査が苦手な方も、どうぞ一度外来にお越しください。 |