令和３年度 米沢市立 病院指標

心不全の患者数が最も多く、続いて、徐脈性不整脈、誤嚥性肺炎、2型糖尿病の順となっております。
高齢者の心不全が、近年増加傾向認めており、平均年齢が高くなっております。 また年齢が高くなると、在院日数も長期になる傾向があります。
徐脈性不整脈に関しても、さらに高齢者が多くなり、平均年齢が高くなっております。
誤嚥性肺炎も、高齢者に多く、在院日数も長期になります。
糖尿病に関して、当院では、合併症の検査もあるため、循環器内科に入院しているため、患者数が循環器内科であがっております。比較的、若い方も多く、平均年齢は低くなっております。糖尿病の患者数も近年多くなっております。

当院では良性疾患のみならず、消化管悪性疾患についても加療を行っております。胃の悪性腫瘍については内視鏡治療も行っております。また、胆道系疾患についても内視鏡処置を行っております。

地域でも数少ない小児専門病床を有している関係で小児2次救急指定病院になっており、米沢市だけでなく近隣の地域からの入院患者の受け入れを行っています。
当院では小児科とともに産科もありますので新生児入院が多くなっています。
また、肺炎、気管支炎、上気道炎等の呼吸器感染性等の一般的小児疾患が多くなっています。
また、当院では川崎病、脳炎等のその他の小児疾患も受け入れています。
特に食物アレルギーでは、経口食物負荷試験を行っておtり、食物アレルギーの入院が多くなっています。

当院外科は、消化器・一般外科（食道、胃・十二指腸、小腸・大腸、虫垂、肛門、肝臓、胆嚢、胆道、膵臓、脾臓、ヘルニアなど）、乳腺・内分泌外科（乳腺、甲状腺）、呼吸器外科（肺、縦隔）、内視鏡外科、小児外科、外傷等救急疾患など幅広い領域の疾患に対する手術治療を中心に診療を行っています。２０２１年度は成人の鼡径ヘルニア手術が最も多くそのほとんどを腹腔鏡手術（TEP法）で行っております。平均年齢は７１歳と高齢の方にも安全に受けていただくことができ、在院期間も全国平均より１日短いことが特徴といえます。
次は乳房の悪性腫瘍が続きますが、当院では診断、治療（手術や化学療法）を一連として行っています。
その他では胆嚢疾患、虫垂炎と続きますがこれらもほとんどが腹腔鏡手術で行われています。
また乳癌、胃癌・大腸癌、肝胆膵癌の化学療法および緩和療法、在宅訪問も施行しており、手術治療と合わせ終末期まで含めた集学的治療を行うことができるのが当科の特徴です。

高齢者の増加に伴い骨粗鬆症を背景とする骨折が増加しています。
代表的な骨折は脊椎椎体骨折と大腿骨近位部骨折です。
脊椎椎体骨折に対してはコルセット装着、リハビリテーションなどの保存的治療を行っています。
大腿骨近位部骨折に対しては可能であれば手術を行っています。
両者とも骨粗鬆症を背景とする骨折であり、入院中に骨粗鬆症の検査、また、骨粗鬆症の治療が行われていなかった方にはその開始を行っています。

１位はエダラボン使用脳血栓症(発症24時間以内､かつ腎機能低なし)。２位は慢性硬膜下血腫。３位はエダラボン未使用脳血栓症(発症24時間以降､または腎機能障害あり)。ここまでの順位は例年と変わりない。脳血栓症と慢性硬膜下血腫の症例が多いのが当院の特徴であろう。
今回4位は外傷性出血､5位は非外傷性出血の順となった。
DPCを意識したカンファランスと効率的な連携パス運用により平均在院日数はいずれの症例も全国平均を下回っている。

当科は、山形大学医学部との連携のもと、泌尿器科癌に対する診断、治療を行っております。
また、尿路感染症治療、尿路結石治療、排尿障害に対する治療を行っております。
加えて、血液透析も担当しております。

当院は、正常経過の妊婦さんから種々の合併症のあるリスクの高い妊婦さんまで幅広く対応しています。
当院は米沢市内あるいは置賜地域全体の二次周産期医療機関として周産期管理にあたっています。
そのため、当院ではハイリスクの妊婦さんや母体搬送などの紹介に２４時間体制で対応しており、可能な限り、当院で地域医療を終結すべく尽くしていきたいと考えています。
また、子宮頸部異形成や良性の子宮腫瘍や卵巣腫瘍の紹介も多く、開腹や腹腔鏡手術など常勤医師３名と数名の非常勤医師で対応しています。
悪性の子宮腫瘍や卵巣腫瘍に関しては、山形大学産婦人科と連携をとりながら診療にあたっています。

眼科で最も多い疾患は白内障です。加齢に伴い、水晶体が混濁する病気で誰にでも起こる病気です。治す方法は手術しかありません。手術の時期は、個々人の生活や仕事によってさまざまです。
日本で失明原因の第一が緑内障です。眼の圧を眼圧と言いますが、正常は21mmHg以下です。この値が21mmHg以上となり、視野に変化が生じるようになると緑内障という病気です。40歳以上の5％といわれていますが、年齢が高くなるにつれてこの割合は高くなり、70歳以上では12％ぐらいになります。検診で発見されることが多く、ほとんどの患者さんは、点眼治療で生涯視力視野を維持できます。
硝子体疾患は、病的でない生理的飛蚊症から硝子体出血、網膜剥離までさまざまです。10年ほど前まで黄斑円孔や黄斑上膜の治療はなかったのですが、最近この疾患も硝子体手術で改善できるようになりました。 当院では、25ゲージ硝子体手術を行っています。
黄斑変性は加齢変化による加齢黄斑変性症が最も多くみられます。加齢によるもの、遺伝性のもの、糖尿病によるもの、血管閉塞に伴うものがあります。
この疾患も10年ほど前までは治療ができない病気でしたが、最近では硝子体内に抗血管新生抑制因子薬を注入することで視力改善維持ができるようになりました。

めまい（前庭機能障害）にて受診され、嘔気・嘔吐が強い場合や歩行困難な患者さんは数日間の入院を要します。入院期間は疾患や各人の症状にて変化します。
扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、喉頭浮腫にて経口摂取不良な場合には入院にて点滴による抗菌薬投与、補液を行います。
慢性副鼻腔炎は手術加療目的の入院となります。
重症の顔面神経麻痺患者さんには、入院での点滴加療を施行しています。
突発性難聴にて内服加療で改善が乏しい患者さんや重症難聴の患者さんには入院での点滴加療を施行しています。

肺炎については、市中肺炎等の軽症から集中治療管理が必要な重症～超重症例に対応しております。
また、各種感染による敗血症、各種中毒等の患者さんの治療も行っています。
（ハイフン表示は、10人未満症例）

当科の入院患者さんで最も多い疾患は下肢静脈瘤です。ほとんどはレーザー血管内焼灼術を施行しており、もう1.000人以上に施行しました。
その他は、大動脈瘤や大動脈解離などの大動脈疾患や下肢閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患の患者さんが多い傾向です。大動脈疾患も可能なら身体に優しいカテーテルを用いた治療を行いますが、カテーテル治療が不可能な大きい手術も安全に行っています。昨年の10月から2人体制になって、緊急手術も可能になり徐々に増えてきました。末梢動脈の治療も身体に優しい治療から、足先の細い動脈へのバイパス手術まで安全に行っています。
他には、循環器内科から紹介いただく心臓弁膜症や狭心症、心筋梗塞などの心臓疾患の患者さんも当科に入院していただき、手術しております。さらに、当院は血液透析を行っている患者さんもおられ、シャント造設やカテーテル留置を当科で行っております。
（ハイフン表示は、10人未満症例）

徐脈性不整脈に対するペースメーカー移植術も、前年度より患者数が倍近く増えております。ペースメーカー交換術は、前年度と同様です。
虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈ステント留置術は、前年度は急性心筋梗塞が最も多くありましたが、今回は、不安定狭心症が最も多くなり、続いて、待機的となりました。経皮的冠動脈ステント留置術の総数は前年とほぼ同様の患者数であります。
経皮的カテーテル心筋焼却術は増加傾向にあります。
（ハイフン表示は、10人未満症例）

内視鏡治療については大腸ポリープの患者さんが多く、早期胃癌の患者さんについても治療を行っています。また、消化管出血の内視鏡的止血術も行っています。胆管結石や悪性胆道狭窄に対して、ステント留置術を行うと共に、結石に対しては結石除去術を行っています。

産科が併設されていますので、新生児仮死蘇生を行っています。
（ハイフン表示は、10人未満症例）

術式別では上記の通り腹腔鏡手術が上位を占めており、鼡径ヘルニア手術や虫垂切除術では術後数日での早期退院が可能となっています。大腸癌に対しても大半を腹腔鏡手術で行っており、患者平均年齢も７６歳と高齢者に対する腹腔鏡手術を積極的に行っていることがわかります。
乳癌に対する手術では、進行度に応じて乳房温存手術＋センチネルリンパ節生検なども行っています。
そのほか上記に記載はありませんが、肝胆膵疾患の高難易度手術も行っています。

大腿骨近位部骨折は転子部骨折と頸部骨折に大別されます。
転子部骨折には骨折観血的手術を行い、頸部骨折には骨折の転位（ずれ）の程度によって、骨折観血的手術または人工骨頭挿入術を選択しています。
大腿骨近位部骨折以外の手関節、膝関節、足関節の関節内骨折に対しても、転位がある場合には手術を行っています。

慢性硬膜下血腫の手術件数が最多なのは例年同様である。
内視鏡下脳内血腫除去術が血腫除去の主流となりつつあり､開頭術は少なくなってきている。より低侵襲であり患者の負担の面からも望まれる傾向とおもわれる。また最近では外傷による頭蓋内出血に対しても適応が拡大されてきている。
くも膜下出血は当院では開頭術で対応しているが､新病院で血管内手術が可能となればこちらの症例が多くなることが予想される。
またt-PA症例後の血栓回収術も同様に症例増加が期待できる。
開頭術が減少し､内視鏡手術･血管内手術等低侵襲手技の増加が予想される。
（ハイフン表示は、10人未満症例）

当科は、山形大学医学部との連携のもと、泌尿器科癌手術を行っております。
また、地域のニーズを考慮し、前立腺肥大症のレーザーを用いた低侵襲手術、尿路結石に対する内視鏡手術ならびに体外衝撃波結石破砕術を行っております。

当院は、米沢市内のリスクの高い妊婦さんの診療を行っており、帝王切開が手術上位を占めます。
小児科医師、麻酔科医師と連携しながら母児共に安全な帝王切開を目指しています。
また、子宮頚部異形成や子宮頸部上皮内癌などに対して子宮頸部切除術（円錐切除術）、子宮内膜増殖症などの子宮内病変に対して子宮内膜全面搔爬や子宮鏡下手術を行っております。
子宮筋腫、卵巣腫瘍などに対しては腹腔鏡を用いた手術や開腹手術を行っております。

眼科の手術件数の中で最も多い疾患が白内障です。白内障は加齢に伴い増加する病気で、だれでも罹患する病気です。若年齢で発症する特殊な白内障は、先天白内障、アトピー性白内障、糖尿病性白内障、続発白内障があります。白内障は手術をしないと失明する病気です。白内障手術は特殊な場合を除いて、3mmぐらいの小切開でおこないます。抗血小板凝固薬を内服したままでも手術は可能です。当院の手術待機は、１週間入院の両眼は、5か月待ち、片眼は2泊３日、４か月待ちとなっています。
次に多いのが硝子体手術です。
この硝子体手術疾患は、黄斑円孔、黄斑上膜、糖尿病黄斑浮腫、増殖糖尿病網膜症、網膜剥離、硝子体混濁などです。当院では、25ゲージ硝子体手術を行っています。
緑内障手術は、点眼で眼圧が21mmHg以下に下がらない場合や視野狭窄の進行が抑制できない場合に手術対象となります。当院では、線維柱帯切開術、線維柱体切除術、エクスプレスインプラント、アーメードインプラント、バルベルトインプラント手術を行っています。また急激に眼圧が40mmHg以上になる急性緑内障発作があります。原因に応じた治療が必要です。当院では緑内障発作は、随時対応可能です。
網膜剥離は、当院では30～４０件行っています。準緊急扱いで受診時に入院していただき、3日～7日後に手術を行います。当院では手術の第一選択は、強膜バックル（約８０％）を行います。これで復位しない場合に硝子体手術を行います。初回復位率は約81%です。

慢性穿孔性中耳炎による難聴・耳漏改善目的に鼓室形成術を内視鏡を用いて施行しています。
慢性副鼻腔炎に対して内服加療による効果が乏しい患者さんには、全身麻酔下の内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行しています。
慢性扁桃炎で咽頭痛を繰り返す患者さんや扁桃肥大にて睡眠時無呼吸を認める患者さんには、全身麻酔での扁桃摘出術を行っています。術後1週間程度の入院を要します。
声帯ポリープなどによる嗄声の改善のため、全身麻酔下の喉頭微細手術を施行しています。声の改善を目的とする場合、術後数日間の沈黙療法を行います。
（ハイフン表示は、10人未満症例）

当科で行う手術の中で最も多いのは、下肢静脈瘤に対するレーザー血管内焼灼術です。2泊3日の入院で、局所麻酔で行い、3日目の9時過ぎに退院します。置賜地区では当院のみで行っている手術であり、もう1.000人以上の経験があります。
次に多いのは下肢の動脈の閉塞や狭窄に対するバイパス手術です。下腿や足部の細い動脈にバイパスするのは難易度が高い手術ですが、当院では安全に行っています。当然、低侵襲のカテーテル治療も病変が可能であればそれを第一選択としています。
大動脈瘤や大動脈解離などの大動脈疾患に対する手術は、胸部も腹部も可能なら
身体に優しいカテーテルを用いたステントグラフト治療を行いますが、人工血管で大動脈を取り替える大きな手術も安全に行っています。緊急手術は他院に紹介することが多かったですが、医師が2人に増員されて当院でできることが増えました。
透析に用いる内シャント造設術などは、本年4月に腎臓内科の医師が新しく当院に赴任され、腎臓内科に入院したままで当科の手術に内科の先生も一緒に入っていただいて行っています。術後は腎臓内科で透析の管理を行っています。
心臓手術は、ほとんどが心臓弁膜症に対する人工弁置換術や弁を温存する弁形成術、または狭心症や心筋梗塞に対する冠動脈バイパス術です。弁形成術は今まで僧帽弁のみに行っていましたが、昨年の10月から大動脈弁に対しても形成術が出来るようになりました。冠動脈バイパス術は、できるだけ身体に優しい心臓を動かしたまま吻合する方法で行っています。
今まで常勤は1人の医師で、大学などから応援を得て手術を施行していましたが、2人の常勤となりさらにパワーアップしましたので宜しくお願いします。
（ハイフン表示は、10人未満症例）