病理診断科

1 病理診断科の紹介

病理診断科では、患者さんから採取された組織や細胞を顕微鏡で詳細に観察して、病理診断を行っております。病理診断は適切な治療方針の決定や予後の予測に不可欠です。具体的な業務内容をご紹介します。

生検・手術検体の病理組織診断

生検(針や鉗子で採取した組織)や手術で切除された組織をホルマリン固定し、パラフィンブロックを作製します。パラフィンブロックは長期保存が可能で、当院では30年間の保管期間を設定しています。パラフィンブロックから、ガラス標本を作製し、顕微鏡で病変を詳しく検索して病理診断を行います。
主に悪性腫瘍の病理診断では、免疫染色を併用することが一般的になっております。免疫染色は細胞や組織に発現しているタンパク質を可視化する検査方法です。当院では自動免疫染色装置(BOND-MAX, Leica Biosystems)を導入しており、高品質な免疫染色標本の作製が可能です。特に乳がんや胃がんでは、患者さんごとに最適な治療薬の選択のために、免疫染色が活用されています。

自動免疫染色装置

術中迅速診断

手術中に行われる病理診断です。主に、手術における切除範囲の決定、切除断端の評価やリンパ節転移の判定のために行います。

細胞診

患者さんから採取した細胞を顕微鏡で詳しく調べて、良性・悪性の判定や疾患の推定を行います。主に、子宮頸部・体部、尿、甲状腺、乳腺などの検体で細胞診が行われています。患者さんへの負担が少ない検査であり、がんのスクリーニングとして行われる検査となります。当院では、4名の細胞検査士と1名の細胞診専門医が在籍しており、細胞診業務を担当しております。

病理解剖

病理解剖は、ご遺族の承諾のもと、病気のために亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を直接観察して詳しい医学的検討を行うことです。死因の究明に加えて、生前の診断や治療の妥当性を評価することが主な目的です。病理解剖の結果は、院内の臨床病理検討会で共有され、医療の質の向上や医療従事者への教育に役立てられます。

2 診療実績

病理診断科 過去5年間 標本件数の推移

組織診細胞診総ブロック数剖検
2020年2,1313,47811,3822
2021年2,4673,60414,9181
2022年2,1963,44313,4882
2023年2,2323,25713,4032
2024年2,4502,85213,2803

術中迅速病理組織診断・術中迅速細胞診検査

術中迅速組織診術中迅速細胞診
2020年414
2021年690
2022年494
2023年656
2024年649

3 診療体制

・常勤医師1名(病理専門医、細胞診専門医、分子病理専門医)

・臨床検査師4名(4名とも細胞検査士資格を有する)

・山形大学医学部病理診断学講座からの非常勤医師の応援あり

・遠隔デジタル診断システムによる山形大学医学部病理診断学講座からの診療バックアップあり

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