乳腺外科

乳腺外科

乳癌は女性の癌において増加傾向にあり、罹患率1位、死亡率5位となっています。罹患のピークは40代後半から50代後半にあります。この増加する乳癌に対する診療に対応するため米沢市立病院では2014年4月、乳房撮影装置を更新し、最新型の乳房撮影装置を導入しました。

今回導入した乳房撮影装置は低被ばく,高画質を実現し,通常の検診・診断用の撮影,ステレオバイオプシー検査,トモシンセシス検査に対応した装置です。 最大30%の線量低減を実現します。
特にトモシンセシス撮影は,乳房を振り角は±25° ,トータル50°で断層撮影を施行します。25回の照射にて撮影を行います。25回の照射にて得られたプロジェクション画像25枚をボリュームデータとして取得し,再構成を行う。その結果,撮影台に対して1mmのスライスピッチでの画像を得ることができる。
つまり,最終的に得られるトモシンセシス画像は,3cmの乳房厚であれば30枚,4cmの乳房厚であれば40枚となる。従来の乳房撮影装置と異なり乳腺の重なりをなくし診断能力の向上した装置となります。 山形県内では初の装置となります。

上記の装置に加えて、吸引補助下バイオプシー装置を組み合わせることにより石灰化病変や小さい腫瘍性病変の精密診断が可能となりました。より早期診断早期治療が可能となっています。 早期診断早期治療により、乳房温存手術の割合が増加傾向にあります。

腋窩リンパ節に関してはセンチネルリンパ節(最初にリンパ節転移を認める見張りリンパ節)のみ切除施行し、センチネルリンパ節に転移が認められなければ、その他のリンパ節は温存する手術を行っています。不必要なリンパ節廓清を省略することにより上肢のリンパ浮腫の発生を予防しています。

術後の補助療法はそれぞれの腫瘍の特性を検討し、乳癌学会、St Gallen、またはNCCNのガイドラインに沿った標準的治療を行っています。
私どもは、常に地域の皆様のご期待にお応えできるよう、診療レベルをさらに向上させるべく日々努力してまいります。

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)について

乳がんや卵巣がんの多くは、遺伝する病気ではありません。しかし、遺伝的な要因がはっきりしていて親から子に遺伝することのある「遺伝性のがん」があることも事実です。そのような遺伝性のがんは、乳がんや卵巣がん全体のうち約10%を占めると言われています。

乳がんや卵巣がんの発症と関連している2種類の遺伝子が同定され、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子と名付けられました。この2種類の遺伝子は男女関係なく誰でももっている遺伝子ですが、生まれつきこの遺伝子のどちらかに乳がんや卵巣がんの発症に関与する変化(病的変異)があると、乳がんや卵巣がんなどになりやすいことが分かっています。

例えばBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に病的変異がある女性の生涯発症リスク推測値について、乳がんは41-90%、卵巣がんは8-62%とされています。
日本人女性が生涯のうちに乳がんを発症するリスクは9%、卵巣がんは1%と言われていることから、遺伝子変異を認める場合は乳がん卵巣がんを発症するリスクが高率となります。

また乳がんや卵巣がんになりやすいだけではなく、「若くして乳がんになる」、「乳がんを多発する(対側乳がん・同側乳がん)」などが見られることがあります。HBOCの男性では、一般の男性よりも乳がんや前立腺がんになりやすいことが知られています。

当院では遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対応するため、星総合病院(福島県郡山市)と連携し、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーのカウンセリングを受けていただくようにしています。

以下の項目に当てはまる方は乳腺外科または婦人科専門医に御相談下さい
  • 若年性乳がん(目安:40歳もしくは50歳以下で診断された)
  • 60歳以下で診断されたトリプルネガティブ乳がん
  • (お1人の方で)2個以上の原発性乳がん
  • 卵巣がん
  • 男性乳がん
  • 乳がんを発症したことがあり、かつ、次にあてはまる血縁者がいる
    • 50歳以下で乳がんを発症
    • 卵巣がんを発症
    • 乳がんまたは膵がんを発症(2人以上)

日本乳癌学会 認定施設認定証

当施設は、乳癌学会、乳腺専門医が常勤する 乳癌学会認定施設となっています。

一般社団法人 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 遺伝性乳癌卵巣癌総合診療協力施設認定証書

よく見られているページ