循環器内科

循環器内科

概要

循環器内科では大きく分けて3つの疾患を診ています。

  1. 虚血性心疾患:心臓の筋肉を養う血管(冠動脈)が細くなったり、詰まったりすることで起こる狭心症や心筋梗塞を、虚血性心疾患といいます。カテーテル検査はもちろん、64列マルチスライスCT心筋シンチという核医学的検査を用いて冠動脈の狭窄がどの程度か、どんな治療が必要かを判断し、年齢、活動能力などから患者さんひとりひとりに合った治療を行います。
    心筋梗塞やショックなど緊急で運ばれることも多く、24時間体制で対応しています。
  2. 不整脈:H16年からカテーテルアブレーション治療(カテーテルで不整脈の起源を高温で焼き切る手術)ができるようになり、発作性上室性頻拍や心房粗動、心室頻拍の根治手術を行っています。H26年よりカテーテル室に電気整理検査専用のシステムラボが入り、ますます充実してきました。
    ペースメーカー外来では年間延べ280人のフォローをしております。最近はホームモニタリングを行っている方も増えてきました。
    また年に2回リズムニュース を発行し、ペースメーカー植え込み患者さんに病気や機械についての解説を行っています。
  3. 心不全:様々な原因(弁膜症、心筋梗塞、心筋症、高血圧、腎不全)でおこる心不全に対して学会のエビデンスに基づき、スタッフカンファランスを行いながら治療しています。
    最近は、薬物治療に合わせて心臓リハビリに準じた運動療法や、心不全予防のための栄養指導、服薬指導など、多職種が介入して予防に力を入れています。退院までを有意義にすごしていただいています。
    また高血圧、弁膜症、心筋症、先天性心疾患などの診療の他、循環器疾患を持つ方の肺炎や脳梗塞、腎機能障害などにも対応しています。患者さんの平均年齢が高くなり、多くの疾患を持っていることが多いため、患者さんを総合的に診療できるようにこころがけております。

治療について

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査は心臓に細い中腔のチューブ(カテーテル:直径1.6mm)を挿入し、心臓内の圧力を測ったり、造影剤を注入して心筋を養う血管を撮影したり、心筋の動きや弁の逆流の程度を調べたりするために行う検査です。

検査当日の朝は絶食か軽食ですませ、検査着に着替えてベットで検査室に入ります。足の付け根の血管や手首の血管に局所麻酔をして、そこからカテーテルを挿入します。局所麻酔の時は痛いですが、カテーテルが入ってしまえば痛い検査ではありません。造影剤が入った時に体が熱く感じることがありますが、一時的なものですので心配はいりません。
検査時間は30分から40分程度です。カテーテルを抜いた後は止血のために10分程度圧迫しベットで部屋に戻ります。

検査中の画像
カテーテルの画像

穿刺部位は鼠径部、手首、肘などがあります。
おもに狭心症や狭心症が疑われる方に行いますが、弁膜症や心筋の動きが悪い人、心筋梗塞の方などに行われます。
脈の異常がある方には特殊なカテーテル検査(電気生理学的検査)を追加することがあります。

カテーテル検査の画像

狭心症とは、運動したり興奮したりしたときに胸が苦しくなる病気が狭心症です。胸痛は3~5分程度でおさまるのが特徴です。心筋を養う血管(冠動脈)に動脈硬化がある場合が多く、カテーテル検査でどの血管にどの程度の狭窄があるかを調べます。
必要があれば細いところを広げる治療を引き続きおこなうことができます。安静時や夜間・早朝に胸が苦しくなる狭心症もあります。この場合は冠動脈の痙攣で発作が起こっている可能性が高いので、血管の痙攣が起こりやすいのかをカテーテル検査で調べます。

血管の説明の画像
心筋を養う血管(冠動脈)は3本あり、大動脈の起始部から出ています。
経皮的冠動脈形成術の画像
治療は経皮的冠動脈形成術といいます。バルーンやステントで血管を広げます。

カテーテル検査は約30~40分で終わりますが、検査の後安静が必要ですので入院期間は約3~5日です。

カテーテルアブレーション治療

カテーテルアブレーションとは、カテーテルという直径2mm弱の細いやわらかい電極を3~5本、足の付け根や首の付け根の静脈から心臓に挿入し、不整脈の原因を調べ、原因となっている不整脈発生部位にカテーテルを当てて、50~60度の高温で心筋を2-5mm焼却する不整脈の根治治療です。

カテーテルアブレーション治療の画像1
カテーテルアブレーション治療の画像2

足の付け根や首の付け根に局所麻酔をし、数本のカテーテルを心臓に持っていきます。
心臓を電気刺激して不整脈を誘発したり止めたりしながら、不整脈の原因を調べます。原因がわかったら、治療用のカテーテルを原因となっている部位まですすめ、心筋を焼灼します。
焼灼は1分程度で1から数回焼却します。当院の検査治療時間は平均2時間20分ですが人によって異なります。検査後はカテーテルを抜き、出血しないようにバンドで固定して帰室します。一晩安静となりますが翌日朝から歩けるようになります。入院期間は4~5日です。

64列マルチスライス冠動脈CT

冠動脈の画像1
冠動脈の画像2

普通のCTを取るように造影剤を注射しながらCTをとることで、冠動脈を写すことができます。外来でもできる簡単な検査です。
カテーテル検査をしなくてもこんなに綺麗に冠動脈を見ることができます。

心筋シンチ

心筋シンチとは放射性医薬品をもちいて、冠動脈に狭窄があることにより生じる虚血があるかを調べるものです。

注射をしてガンマカメラで写真をとるだけなので、造影剤が使えない方や、腎機能が悪い方などにも安全にできる検査です。

ガンマカメラの写真
狭心症の方と正常な方の比較画像

ペースメーカーのホームモニタリング

ペースメーカーのホームモニタリング画像

自宅にいながらペースメーカーのデータを無線で送ることができる機能です。年2回のペースメーカーチェックを1回に減らすことができるため、移動が大変な方には積極的に導入しています。

高齢者心不全患者に対する「多職種介入」の効果

再入院率のグラフ

入院中薬物治療の他に体重、水分、塩分管理の教育、リハビリ指導、服薬指導や訪問教育をすることによって、特に75歳以下の方、心機能の悪い方の再入院率が有意に減少したと報告されています。(Christopher et al:JAMA 2004)

症例数、治療成績、クリニカルインジケーター

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年
心筋梗塞353137263343656844
冠動脈造影20617018816314713912610483
PCI384241333540434139
アブレーション111189106878
Pacemaker植込み(新規+交換)31+516+1421+1322+738+1228+824+1018+1124+13
負荷心筋シンチ486487502498516493502424373
安静心筋シンチ1035751372340241519
心エコー152314951515159017161923198416811540
心リハ外来4491325175221031998744117
心リハ入院1130224816891670288436304855
CPX23716494612421
SAS検査入院517323636724
急性心筋梗塞院内死亡率15.0%10.3%16.0%23.1%15.1%13.9%15.3%20.6%11.4%
PCI施行した急性心筋梗塞の院内死亡率4.5%4.8%4.2%8.3%0.0%6.7%000

リズムニュース

般社団法人 日本不整脈デバイス工業会 発刊:ペースメーカのはなし

No.タイトル
1アンケート
2電池交換手術について
3電磁障害について
4ペースメーカーが必要な病気(PDF)
5ペースメーカーチェックについて(PDF)
6うえこみ後のトラブル(PDF)
7よくある質問(PDF)
8心房細動とは(PDF)
9AED ( 自動体外式除細動器 )(PDF)
10電池の寿命について(PDF)
11アンケート
12狭心症とペースメーカー(PDF) 
16心機能を改善させるペースメーカー(PDF)
17ペースメーカーが入っている人の心不全(PDF)
18IHヒーターやIH炊飯器、IHポットの使用について(PDF)
19MRI 検査ができるペースメーカー(PDF)
20障害者認定基準の見直しについて(PDF)
21ペースメーカーの交換手術(PDF)
22ペースメーカーにまつわる誤解(PDF)
23血液をサラサラにする薬について・・・1(PDF)
24血液をサラサラにする薬について・・・(PDF)
25フレイルについて(PDF)
26心臓リハビリテーションについて(PDF) 
27新しいペースメーカーについて(PDF)  
28失神について(PDF)  
29ペースメーカーが入っている方の寿命(PDF)  
30ペースメーカーと草刈り機・耕運機(PDF)
31ペースメーカーと火葬(PDF)
32検査データの基準値が変わります(PDF)
33ホームモニタリングって何?(PDF)
34MRI検査ができるペースメーカーについて(PDF)
35リビングウイルについて(PDF)

※当科で参考にしている診療ガイドライン:日本循環器学会 各種ガイドライン

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